味の設計図を作る


今日、お話しすることも、もしかしたら、
あなたも同様のことをなさっていませんか?

今日お伝えすることが続くと、
不幸な結果になる危険があります。


大切な料理長を失うことになるかもしれませんので、
非常に注意が必要です。
また、商品開発を効率良く、
効果的に行うにあたり
必要なノウハウをお伝えします。

商品開発の段階で頻繁に目にすることがあります
それは、いきなり料理を作りだすことです。

メニューコンセプトもなく、商品コンセプトもなく、
ただ、いきなり調理をしてしまいます。

私は常日頃経営者の方にお伝えしておりますが、
語弊を恐れずに申し上げますが、
料理人は、料理は作れますがメニューは組めませんよ、
美味しい料理は作れますが、商品はつくれませんよ、と。

これは料理人の方々を愚弄しているのではなく、
むしろ、尊敬しているからこその言葉です。

調理技術を持ったプロの方々を、
私は常日頃、非常に尊敬しております。


この言葉の真意は、料理人の方々は、
経営者が思っている以上に料理の知識が豊富です。
十分すぎるほどの経験もなさっています。
常に料理のことを考え、
頭の中にはあらゆる知識が存在しております。

その方にいきなり料理を作らせることは、
暴挙に等しいと私は感じています。


私も、常日頃経営者の方々に多種多様な質問をされます。
私の頭の中には、沢山の経験とノウハウ、知識があります。
ひけらかす訳ではなく、本当に沢山のことが存在しています。


ですから、オープンクエスチョンのような質問は、
一瞬、質問の意図を考えてしまい、
思考が停止してしまいます。


その質問の意図を確認し、
何故その質問をなさったのかを確認し、
どのような答えを望まれているのか、
逆に質問をさせて頂いてからでないと、
回答はしないようにしております。

この確認作業を怠り質問に答えてしまうと、
間違った答えをお伝えすることになりかねません。
議論が変な方向に行ってしまう危険があります。


同様に、料理人の方にいきなり商品作りをお願いすると、
何を基準に料理を作ればわからなく、
ほぼ間違いなく望む結果とは違うものが出て来ます。


何故この様なことが起きるのかと言いますと、
商品開発の依頼をする経営者なり幹部スタッフが、
メニューや商品に関しての明確な基準を持たず、
しかも料理に関しては門外漢なので、
余計な考えを巡らすことは止そうと感じ、
料理長に依存した状態で、
開発を依頼してしまうからです。


料理長なら何とかしてくれるだろうと、
安易に考えて商品開発を依頼してしまいます。

非常に問題の多い行為と言えます。

料理長は、明確な基準がわからず、
経営者の意図を忖度して料理を作ります。

新メニューのコンセプトも狙いも意図も曖昧なままに、
とりあえず作ってみます。

暗がりを手探りで進むように、
とりあえず何かを作ってみます。

それに対して、経営者の方も明確な基準の無いまま、
料理長が作ったものだから大丈夫だろうと、
間違いがないだろうと感じて、
出てきたものを基準に開発風の
作業が進行していきます。

料理長は自分が提供した商品候補に対して、
経営者からコメントがもらえるので、
安心して商品開発を進めますが、
この行為は、どちらも明確な基準も意図も持たずに、
業務進行しているので非常に危険な状況です。


経営者は、我社の料理長が作った商品だから大丈夫だろうと過信し、
料理長は、経営者の承諾をもらいながら商品開発を行ったので、
何の問題もないだろうと感じ、商品作りを進めます。

経営者も料理長も、明確な基準のないままに、
相互依存しながら業務が、開発が進んでいきます。

その結果、マーケットに受け入れられることは稀で、
ほとんどは徒労に終わってしまう結果となります。


私は、過去にもこのような場面に直面したことが、
度々ありました。


そういった時に、私は必ず行う質問があります。

それは、
メニューコンセプトを見せてください?
商品コンセプトはありますか?
味の設計図は作りましか?


多くの場合、これらが揃っていることはありません。

商品開発をする上で、
そもそものゴールを設定せずに進めて、
売り上げの取れる商品が出来上がることは稀です。

奇跡と言っても過言ではないと思います。

ここで、このメニュー開発に非常に大切な二つのコンセプトと、
設計図の解説をさせていただきます。


どのような意図を持つのか、
商品を通じて、何をお客様にお伝えするのか、
どのような効果を狙うのかを明確にするのが、
メニューコンセプトです。

そのメニューコンセプトに則って、
商品の方向性を決め、
カテゴリーを決め商品数の基準を出し、
提供法やポーション、
価格帯などを決めるのが商品コンセプトです。

その商品の具体的な味の方向性や、
表現するテーマなどを決めることを、
味の設計図と言います


この中で、味の設計図を作ることは非常に重要になりますが、
今まで経験した業務で、
ここまで作られた企業はいませんでした。

この設計図が無く商品を開発するとどうしても、
美味しい、美味しくないという議論に終始してしまい、
商品の本質にたどり着きません。

飲食業において大切なことは、
美味しい料理を提供することよりも、
売れる商品の開発し提供することです。


この売れる商品ということを具現化するために、
味の設計図は必要です。


この商品の構成要素は何か?
何を一番強く表現したいのか?
食材は何を使用するのか、
全体的な味の方向性は?
塩味はどの程度表現するのか?
甘みはどの程度感じさせるのか?
コクはどの程度まで引き出すのか?
旨味の主成分は何で、どのように抽出するのか?
香りはどのフレーバーを引き立たせて、どの段階で感じさせるのか?
などを、一覧表にして表現します。

勿論、業態によりこの表現する項目も変化しますが、
何を具体的に表現し商材を決め、
お客様が商品を消費するどの段階で、
それぞれを感じさせるのかを決めます。


味も、食感も、香りも、ポーションも、
大まかな売価も決めておきます。

これらが揃って始めて料理長は、
具体的な商品を作ることが出来ます。


実は多くの場合、商品開発に取り掛かる前に、
経営者は料理長に対して、
自分の想いや意図をお話ししていますが、
それらの事が料理長には正確に伝わることはほぼありません。

冒頭でお話ししたように、料理長の頭の中には、
膨大な量のデータが蓄積されているので、
経営者の想いは伝わったとしても、
具体的な商品の、詳細な部分までは理解できないのが本当です。

そこで、味の設計図を作ることによって、
初めて料理長は詳細なことが理解でき、
より良いアイデアや発想もどんどん出て来ます。

食味はこうした方がいいとか、
食材のカットはこの方が見栄えがするとか、
仕込み段階ではここまで仕込めばよいとか、
最終仕上げの段階でこれを引き立たせるとか、
本当に沢山の提案とアイデアが出て来ます。


どれほど多くのデータが詰まっているのかと、
毎回感心してしまいます。


効果的に効率よく商品開発をするためには、
この三つのコンセプトと設計図を作ることを、
強くお勧めします。


今まで、商品開発に時間がかかってきた企業には、
特におすすめします。

また、試作会・試食会の際にもこの三つのシートがあると、
議論の論点がブレルことも少なくなり、
開発スピードが向上します。


商品を店舗に導入後も、
仮に好ましい結果にならない場合も、
コンセプトシートを見直すことで、
修正も早く行うことが出来、
チャンスロスを最小限に食い止めることも出来ます。

このシートが無い場合は、
原因究明を行うのにも時間がかかり、
修正する方向性が、ブレる可能性があり、
再修正の必要が発生する場合があります。

最初の段階でしっかりと方向性を決めておくと、
その後の修正も楽に行えます。


次回、具体的なコンセプトの立案手法と、
試作会・試食会の実行方法をお伝えします。

この、試食会のやり方を間違えてしまい、
望む結果が出ていないお店もありますので、
試食会の実行方法も間違わないでくださいね。

次のブログでお伝えします。




確実な価値と、豊かな成果のために
2018年10月22日(月) No.279 (商品関連)

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