理念経営の本質   その2


さて、昨日の続きです。

歴史家・未来学者であるローレンス・トーブは、
著書 「3つの原理」 の中で、
性別・年齢・社会階層が時代を形成してきたと論じております。

彼は現代を、仕事への献身と一体化した労働者の時代の頂点であり、
2020年、遅くとも2030年からは、
最も成熟した精神の時代へと大きな変革を迎えると述べています。

その変化は、2011年より起こっていると論じています。

この書籍の監訳を務めている神田昌典氏も前書きで、
人類が次のステージに向かうための必然的現象であると述べています。

今後は最も精神性が重んじられる時代が到来すると、
未来を想定しています。

この提言が真実か否かをここで論じる気はありませんが、
時代が大きく変革している事は、
経営者の皮膚感として実感できる事と思います。

人々の意識に大きく変化が生じている点、
今までの延長線の企業経営の手法では、
スタッフの反応に変化が出てきている点など、
違和感ともとれる事が起きていると感じていると思います。


時代の変化の顕著な例として、
ここ数年頻繁に発生している内部告発や、
コンプライアンスに関する事象など、
企業の不祥事などがあげられます。


これなどは、まさしく企業理念の重要性を、
問われるような事象と言えます。

現代はまさしく意識変革が求められる時代へと、
移行していますが、
いざ、理念経営を導入しようとしても、
その企業理念の作成方法と、
効果的な運用方法が解らない経営者の方々も、
いらっしゃるのが実態と思えます。


今回、理念をどのように設定・活用すれば、
スタッフが自ら考え行動へと移行するのかを、
解説していきたいと思います。

そこで、理念の簡単な作成方法と、
正しく効果的な運用方法を解説したいと思います。


先だって、「企業理念」や「社旨・社訓」は、
似て非なるものであると述べましたが、
理念とは社訓のように額装し壁に飾るようなものではなく、
行動の基準となるように運用しなればならないものです。


行動指針となり、スタッフがある事象に対処する際に、
考え方や発想の基準となるものです。


理念とは行動に直結させるものです。

出来る限り常に携帯できるようなものにして、
スタッフが行動を起こす際の考える癖を作り直すことを
意図としなければなりません。


あまりにも有名な、リッツカールトンホテルの、
クレドカードがありますが、
実はクレドカードに書かれている事は、
行動基準のみで、具体的なマニュアルなどは、
一切表現されていません。


リッツカールトンホテルのモットーは、
「淑女・紳士をおもてなしする我々は淑女・紳士である」と、
表記されているだけです。

常に「サービスマンとしてどうあるべきなのか」を考える際の、
基準を明記しているだけであり、
考え方の基準を淑女・紳士とは、
どの様な行動をするのかを、
考える・感じることを示唆しているだけです。


この、ある一定の考え方の基準を設定することで、
数々の伝説ともいえる事象が起きているのです。


私は、意識の変革を起こし、
行動の変化を促すことを、
考え方の癖を作り直すと表現することとしています。


これは、出来る限り理念を優しく、
簡単に捉えて頂きたいので
“考え方の癖を作り直す”と表現しております。


実際ある行動を起こすときに、
人は考え方のパターンが出来上がっており、
それに従い行動を起こしています。

理念とは、この考え方の癖を見直す為に、
“効果的に考える方法” を促すことを指します。

理念の本質は、社訓とは大きく違い、
行動を起こす前の基準となる考えを指し示すものであり、
マニュアルのような具体的行動規範を指し示すものではありません。


理念経営を導入している企業も多く存在していますが、
その多くは効果的な運用が出来ていません。


導入はしたものの、「これではダメだ」と、
感じている経営幹部からのお話を聞く機会が多いです。


では、何故導入しても効果が出ないのでしょうか?

いくつかの原因とケースが見受けられますが、
原因は2つだけです。


第1に、そもそもの設定方法に問題があり、
認識の違いから正しく設定出来ていないケース。

第2に、その運用方法に問題があるケースです。

仮に、素晴らしい理念が出来上がったとしても、
壁に掲げてお題目のように毎日唱えているだけでは、
スタッフの行動に変化は起こせなく、
スタッフが自ら考え行動を起こすことは皆無です。


日常的に理念を感じながら行動する、
業務をこなすことを促せなければ、
経営者が望むようなスタッフの変化は起きないと言えます。


本当に理念の導入は必要なのか?と、
疑問に感じていらっしゃる経営者の方も多いと思います。


企業理念なら何年も前から導入しているが、
効果を感じていない、
効果を期待できない物を導入しても無駄ではないかと、
感じてしまうのは至極当然のことと思います。


企業経営・店舗運営に理念が必要な理由は、
スタッフの成長と企業の活性化を効果的に、
しかも短期間に実行できる点にあります。


企業の経営に係わる全ての関係者の成長と活性化をうながす為には、
これほど効果的なものはありません。


理念を導入する事により、
スタッフの行動に変化を起こし行動規範を明確にし、
望むべく成果を手に入れる事が出来ます。


又、その制作の過程でスタッフは、
より親密なコミュニケーションをとる必要にかられる為、
必然的にスタッフ間の距離が近くなり、
コミュニケーション不足を一気に解消できます。


実は、この制作の過程で、
大きな変化を感じる経営者の方が多くいらっしゃいます。


旧態以前のシステムのまま店舗運営を続けることから脱却し、
理念の作成に取り組むことだけでも大きな成果が生まれ、
スタッフ教育の部分でも大きな成果を実感できます。

理念の効果を最大限にするためには、
正しい設定方法と運用方法を学ぶことが重要で必須です。

では具体的な理念の構築方法をご紹介します。

理念、社訓とは違い社長1人の意見や考えで、
作り上げるものではありません。


理念の構築には、基本的に多くのスタッフが係わる必要があります。
経営幹部も現場スタッフも分け隔てなく、
意見を出し合うステージが必要になります。
必要なのはステージの設定、
すなわち、意見を出し合う環境と場を提供してあげる事です。


そのことを通じ、本社と現場、経営者とスタッフに、
一体感が生まれ心理的な垣根が解消されていきます。

具体的にはいくつかのルールが必要になります。

先ず、理念を作成するチームの編成が必要になって来ます。

これは、それぞれのチームで環境や見ている景色が違う為です。
経営サイドは、経営サイドの考え方と感じ方があり、
現場に近いサイドは幹部とは違う考え方・感じ方をします。

そこで、
経営幹部チーム、
店舗運営管理チーム、
現場スタッフチームの3部門で、
チーム編成をするようにしましょう。


今日は、ここまでにします。


明日は、具体的な作成方法と、
運用方法をお伝えしたいと思います。



確実な価値と、豊かな成果のために
2018年11月07日(水) No.285 (経営関連)

No. PASS

top
top
produced by 二子玉くん