席数の確保と席効率とは その2


飲食業で繁盛するためには、
明確な公式のようなものがあります。

商品を生産し販売するのが、飲食業です。
如何に効率よく生産しスピーディーに販売するのかが、
盛業するか否かを決定します。


そこで、店舗をレイアウトする際に、
ホールオペレーションを具体的に考慮して、
設計することが非常に重要になります。

これは、厨房と客席の連動と、
回転率と客単価と組単価の関係を考慮し、
ゾーニングを決定しなければ、
確実な盛業は望めません。

ゾーニングを間違えると、
チャンスロスを起こしてしまう店舗となってしまいます。


この概念を取り入れた事例をご紹介させていただきます。


先だって設計をさせて頂いた、
味噌ラーメンの専門店ですが、
日商¥500,000を下らない成果を上げております。

オープンして1年近く経過しますが、
いまだに落ちません。

ロードサイドのフリースタンディングで、
駐車場も13台しかない状況ですが、
行列が出来てもお客様が帰らない状況です。



理由は、お客様はほんの少し時間、
待っていればすぐに席が空くことを、
ご理解いただいているから、
駐車場でも店内でも安心してお待ちいただいております。


それを可能にしている、席レイアウトであり、
ゾーニングとなっております。

そして、ホールコントロールの方法を、
シッカリと店舗スタッフにお伝えし、
実直に守っていただいているので、
このような成果を上げております。

クライアントにこのレイアウトの意味と、
ホールコントロールの具体的なやり方を解説した時は、
当初は信じられないと言われました。


その後、何度かのミーティングを重ね、
既存のお店の現状分析を行い、
既存店の改善ポイントを解説していくうちにご理解いただき、
その結果、過去にはない効率の店舗となっております。


店舗規模は、スタッフのバックルームを入れて34坪、
実質面積28坪、43席の店舗です。
実質、坪1.5席です。

ラーメン業態の平均席数は、坪当たり1名ですから、
1.5倍の席数を確保したにもかかわらず、
お店はスムーズに回っております。


ラーメン業態を経営なさってるクライアントの方々が、
口を揃えておっしゃるのは、
「席数はそんなにいらないよ 
席数が多くてもどうせ回せないから!」です。

これこそが、製造能力と販売能力を最大化できないために、
不本意ながらも取り入れてしまった信念です。

非常に、残念なことです。

本当はもっと席数を取りたかったのですが、
厨房のシステムと、駐車場の台数を考えて、
限界の席数です。

月商¥16,000,000 年商2億に届きそうな勢いです。
月坪売上¥370,000、実質¥570,000越えです。

投資回転率は、驚異の5.5回転です。


また、宮崎県延岡市にある、
チキン南蛮発症のお店をお手伝いさせて頂いた際にも、
建て替えをする際にこの概念を導入し、
月商は150%になりました。

以前は製造部門を入れて、105坪107席の店舗でした。
建て替えにより店舗面積は製造部門を入れて85坪、席数は104席、
実質店舗面積は60坪です。
坪当たり席数は、1.7席です。

店舗面積が減少したにもかかわらず、
席数はほぼ同数確保し、
回転率を格段に向上させることにより、
売り上げをアップさせました。

月商¥9,000,000から¥13,500,000に向上しました。

しかも、店舗面積が減少したので、
スタッフも1日あたり4名削減でき、
人件費も人件費率も減少しました。

さて、どのようにゾーニングをすると、
このような成果を獲得出来るのかを解説します。


先ず、店舗を大きく二つのゾーンに分けます。
製造部門と販売部門、すなわち厨房とホールです。

私は厨房を製造部門、ホールを販売部門と認識しています。

生産効率と販売効率という概念を取り入れているので、
このように考えております。

この概念のことは、またいつかお話しします。

トヨタが工場を改善する際に導入した概念で、
今では、「KAIZEN」として世界基準になっている概念です。



まず、お客様が入店した際に、
どのように厨房を見せるのかを考えます。

昨今では、繁盛店になるための、
ほぼ必須条件となっている物に、
キッチンをオープンにすることがあります。

私は、ライブキッチンと表現していますが、
キッチンをいかにライブ感のあるものに表現できるか、
手元を見せて、製造工程を見せる演出を行えるかが、
業態の裏付けとなる、非常に重要なポイントとなります。

厨房関連のスペースをいかにコンパクトにまとめるかも、
大事なポイントになります。
この概念の理由も、いずれご紹介します。


残りのゾーンが客席となります。

次に客席のゾーンを三つに分けます。


組人数も客単価も低く、回転率で稼ぐゾーン、
組人数がある程度まとまり、組単価もそこそこあり、平均的な回転率で稼ぐゾーン、
組人数が多く、客単価も高く、回転率よりも組単価で稼ぐゾーンに分けます。

上から、第1ゾーン、第2ゾーン、第3ゾーンと分けております。

厨房に近いところに第1ゾーンを、
店舗の多くの部分を第2ゾーンに、
店舗の一番奥の厨房から最も遠いところを第3ゾーンにします。

第1ゾーンの比率は業態により、10%〜50%以下にします。
このゾーンは、組人数2名以下の席です。
単品消費で、滞在時間も30分以下のお客様をご案内するゾーンです。

最も客回転率が高いゾーンですから、
当然、商品提供数も多く、バッシング数も多くなりますので、
厨房の近くでなければなりません。

第2ゾーンは、組人数3名から5名で、
事業計画で設定した組人数と客単価のゾーンです。
ここの席数をより多く確保することが、
事業計画通りの成果を上げるポイントになります。


業態に限らず、全国平均の組人数は2.7人ですから、
この組人数に対応できる、4名席をより多く確保できることが、
事業計画を現実化する最も重要なゾーンとなります。

勿論、4名対応のテーブルと、
2名対応のテーブルの組み合わせにすることは、
言うまでもありません。



第3ゾーンは、組単価と利益を稼ぎだし、
利益率を向上させるゾーンです。
週末のファミリーなどある程度の、
時間も金額も消費するゾーンです。

最も効率よく稼げるゾーンであり、
意図的に、稼がなければならないゾーンです。

このゾーンは、宴会・パーティーを獲得することを目的に、
席レイアウトを行うことも必須条件となります。


飲食店では、予約したくなる席を、
いかに設けるかが重要になり、
座りたくなる席を設けることが、
お客様に支持される理由ともなります。


又、一度に複数のパーティーを獲得できるかも、
重要なポイントになります。

このゾーニングによりスタッフは、
ホールコントロールが容易になります。

スタッフを効率よく運用することが出来、
スタッフもお客様を誘導しやすくなります。

お客様の人数と特性を見極め、
どの席に誘導するのか、
お待ちいただいているお客様の誘導順位を、
席の空き具合を考慮して、前後させるのかが、
明確にルール化することが可能となり、
お客様も、
「この店は込んでても、すぐ案内されるから大丈夫」と、
安心してお待ちいただけるお店になります。


冒頭にご紹介した2店舗のスタッフは、
お客様をどの席に案内すればいいのか、瞬時にわかるようになり、
ストレスが無くなり、スムーズなホールコントロールが可能になったと、
また、お客様からのクレームも全くなくなったと言っております。

お客様も、スタッフの動きとテーブル配置・席数を見て、
お客様を誘導する理由が理解できるので、
クレームとなることが無くなり、
安心してお待ちいただけるわけです。


このように、効率よくスムーズにホールコントロールを行うことが、
可能なのは、正しくゾーニングを行っているからです。

組数・客単価・組単価・滞在時間・顧客モチベーションを考慮した
客席レイアウトとゾーニングを行い、
生産効率を最大化し、席数を確保することは、
盛業するための必須条件と言えます。



確実な価値と、豊かな成果のために
2018年07月27日(金) No.266 (店舗関連)

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