席数の確保と席効率とは


昨年の年末も押し迫った先日、寒さ厳しい福島で、
クライアントとこんなやり取りをしておりました。

現在開発中の新業態の件で、
平面レイアウトの解説をさせていただいておりました。

私が提案したレイアウトを見た最初の一言が、
「え〜 こんなに席取れるんですか!」 でした。

その反応の真意を伺ったところ、
元々狭い店舗なので、
確保できる席数に限界があると、
多くの席数を確保することは無理と感じていたそうです。


又、現在経営している既存店を設計する際に、
設計者から、席の確保は難しいと言われた経験があるとかで、
当初より席数の確保は諦めていたそうです。

当然、席数を少なく見積もっていますから、
売上もそこそこ取れれば良しとしようと、
考えていたそうです。

そこに席数の確保が可能になっているレイアウトを見たので、
歓喜し、俄然モチベーションが高まってきております!


実は、私はこれまで同様のケースを、
沢山経験してきております。

私と出会う前に依頼していた設計のご担当の方から、
「これ以上の席数の確保は無理です!」と、
言われた経験のある経営者が、
本当に多くいらっしゃいます。

そのクライアントの店舗を視察すると、
席数が少ない点と、席効率が非常に悪いことに、
驚かせられます。

よくぞ、今までこのレイアウトで、この席数で、
店舗を運営してきたなと、関心すらすることもあります。

私は常々、飲食店の繁盛を左右するのは、
席数の確保と席効率がポイントであると言ってきました。


要するに、店舗設計で最も大事なのは、
平面レイアウトです!

平面レイアウトを見れば、
その店舗がどれくらい売り上げを上げられるかが、
瞬時にわかってしまします。


ご存知のように店舗の売り上げは、
客数×客単価です。


そもそもの席数が取れていない場合、
公式の最初の数値が少なくなります。
そこに、客単価をかけたとしても、
おのずと想定売り上げが出てしまい、
盛業と言える売り上げまでは、厳しい状況です。

先ず、席数が確保出来ていなければ、
最大売り上げは見込めません。


それでも売上を確保する場合は2通りしかありません。
ものすごく客単価が高いか、客数を回し切るか。

でも、この方法は一般的ではありません。

因みに、この手法を取っているのが、
いきなりステーキさんと、俺のイタリアンさんです。

高い客単価と高い回転率
ついでに、両者とも立ち席にすることで、
席数も限界まで持ってきてます。
なので、繁盛するわけです。

最近は椅子席のお店も増えてきていますが。


さて、話を戻しますが、
席数の確保は売り上げを構築する際の、
最初に設定しなければならない大事な数値です。


この数値を設定していないクライアントが、
非常に多くいらっしゃいます。

設計者で、この概念を持っている人には、
ほんの数人しか出会ったことがありません。

ほとんどの設計者は、デザイン的な話ばかりで、
席数の確保はすぐにあきらめてしまいます。

勿論、設計の方は店舗を回した経験が無いので、
席数を確保する大事さも、
会社の経営の厳しさも、
本当のところは理解しておりません。

そこまで、求めるべきでないとも思います。

また、クライアントからの要望で多いのは、
ゆったりとしたレイアウトにしたいというものです。


私はこれまでゆったりとした席数で、
大繁盛してるお店を1軒たりとも、
見たことがありません。


何度もアメリカにも行っておりますが、
アメリカの星付きの有名店でさえ、
席はぎゅうぎゅうです。

日本の高級和食店や高級フレンチなどでは、
盛業してるお店もありますが、
一般的な業態ではなく、
繁盛要素が全く違う点にあります。


しかし、クライアントはそういったお店を参考になさって、
ゆったりとした席のレイアウトを望んでこれらます。


そういった場合、私は必ず、
ゆったりしたレイアウトも組んでみます。


ゆたりとしたレイアウトを組んでみてから、
売上の構築の方法をお話しすると、
全てのクライアントが、
売上の確保が出来ないことに愕然となさいます。


業種ごとの多少の違いはありますが、
席数の確保は絶対に、譲れない最重要ポイントです。



私は、基本的に席数は坪当たり、
1.8人〜2.2人確保します。


過去最大確保したのは、渋谷の地下の和風総菜バーですが、
なんと、坪あたり3人です。

9坪27席  
そのお店の平均月商は、
なんと¥6,000,000
平均経常利益は、
なんと、35%  
信じられますでしょうか?

でも、事実です。
月坪¥666,000以上の売り上げです。


いかに驚異的な数値か、
お分かりいただけると思います。

同様に、過去に担当させて頂いた業態でも、
全国展開しているフランチャイズのカフェの、
クライアントさんもいらっしゃいますが、
その店舗でも、坪2.3人以上を確保しました。

オープンしてからすでに10年以上が経過しておりますが、
いまだに月商¥18,000,000以上を売っております。
月坪¥380,000以上の成績です。
FC業態ですから、フォーマットは決まっております。
しかし、細かなポイントを見直すことで、
このような成果を上げることが可能です。


最大月商は¥25,000,000を超えたそうです!

同様に過去には、30坪¥15,000,000、
月坪¥500,000以上を売り上げた、
フランチャイズのカフェもあります。


このように、席数の確保は、
最大売り上げを確保するために、
絶対守らなければならないポイントです。


さて、ここでちょっと検証してみましょう。


あなたのお店は何席確保できていますか?
坪当たり席数は何席ですか?
月坪売り上げはいくらでしょうか?

まだまだ、売上を伸ばせる可能性が、
見えて来ませんか?

チャレンジしてみてはいかがでしょうか?



席数の確保に次いで大事なのが、
席効率です。

これもなかなか正しく理解できていない、
設計者のなんと多いことか。


席効率は、生死を左右すると言っても、
過言ではないポイントです。


クライアントの既存の店舗を視察すると、
見せかけの席数は確保されているけれど、
効率が最悪なお店は本当に多いです。


そのようなお店の店長と、
席効率に関しての具体的な不満点をお話しすると、
沢山の不満と要望が出てきます。


しかし、彼らは、会社から与えられた店舗ですから、
なんとしても成果を出しますと、
答えられる方が多いです。

素晴らしい方々ばかりです。
そういった店長さん達が多いのも事実です。

席効率にはいくつかのポイントがあります。

先ず、客単価と回転率を考慮すること。
何度も言いますが、売り上げは客数×客単価ですが、
私が使用している公式は、

客数×満席率×回転率×客単価 です。

仮に見せかけの客数を確保しても、
満席率が低いと売り上げは上がりません。

同様に、回転率も低いと売り上げは上がりません。

どのようなことか解説しますと、
席数を確保したくて、
ビックテーブルを配置する、
6人席を多用するなど、
大人数を確保するテーブル設定になっている場合があります。

一瞬席数は確保されているように見えますが、
その業態の組人数が多くない場合は、
6人テーブルの多用は自殺行為です。


ビックテーブルの確保も、組人数と業態との関係で、
効果が出るか成否が分かれます。


FFのカフェならば、ビックテーブルは有効活用されますが、
それ以外の業態ではなかなか有効活用されません。

席効率は、組人数を把握し、最大公約数的に配置する、
顧客のモチベーションに対応して、
流動性を高くすることが大事になります。

流動性を上げるために行うことは、テーブルの分割です。
2名卓から4名卓、4名卓から6名卓へと、
テーブルを移動させることにより、
お客様の人数に対応したテーブルセットを行います。

これは、テーブルの選択基準となる基本的な概念ですが、
まだ理解していない、設計者とクライアントをお見掛けします。

ソファーエンドのテーブルは4名卓で構いませんが、
それ以外のテーブルは、2名卓を挟んでレイアウトすることは、
鉄則です。

また、ゾーニングも大事になりますが、
長くなったので、これは次回のブログで公開させて頂きます。

効率よくお客様を回すためには、
ゾーニング、ものすごく大切なポイントと
ご理解くださいませ。



確実な価値と、豊かな成果のために
2018年07月24日(火) No.265 (店舗関連)

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