美味しい料理と売れる商品 その1


私はホームページにも書いていますが、
普段から、「飲食店に必要なものはおいしい料理ではない、
本当に必要なのは売れる商品だ」と、公言しております。

テレビでも言っているぐらい、
私にとっては常識なことです。

誤解を恐れずに申し上げますと、
おいしい=売れるという構図は、
必ずしも成立するとは言えません。

間違わないで頂きたいのは、
決しておいしい物を作らなくてもいい、
と言うことではありません。


おいしい商品は追及すべきです!が、
我々が日々行っているのはあくまでもビジネスです。

売れなければ全く意味がありません。
あなたも異議はないと思います。

美味しいとは個人的な概念の一つであり、
商品にとって一番大事なことは、売れること、
そして、売れ続けることです。

売れること、そして売れ続けることだけが、
ビジネスを継続させます。

おいしい味の追求の先に、
売れる、売り上げのとれる商品に、
仕上げるという作業が、
絶対に必要になります。


おいしいは、あくまでも最初のワンステップであり、
おいしいをベースにして、
売れるための商品化へ、
そして再現性の高い商品へと
ステップアップしていくことが、
必要な作業になってきます。


最近、強く思うことがありまして、
商品のレベルが、
製品化してきたように思います。

開発者の判断なのか、トップの判断なのか、
業績を上げたいという思いが、
形になっていないように感じます。

先だってもおいしい商品を作りましたと、
クライアントのご担当から、
ご連絡をいただきました。

20年近くも営業しているラーメン店でしたが、
試食したラーメンは、バランスが今一つで、
スープと麺がそれぞれに、
独自に主張しすぎている状態でした。


開発コンセプトを伺いましたが、
目指す方向は良いと思いましたが、
実際の開発段階で迷いが生じてしまい、
ブレることになってしまったようです。

迷いが出た理由を伺うと、
情報過多が原因でした。

要するに、コンセプトへのコミットメントが、
しきれていない状況でした。

なので、一瞬問題ない商品に見えますが、
私には、工場で作った大量生産の製品のように感じてしまい、
正直な感想を社長にお伝えしました。

結果的に、「おいしくて、売れる商品」に、
その場で作り替えましたが、
ブレを生む原因を突き止めないと、
次回の開発でまた同様の問題が発生しますよと、
開発する前に、
しっかりと商品の設計図を作りましょうと、
お伝えしてきました。

私が行った作業は非常にシンプルです。
最初に、商品を作る前段での、
思考を整理したことです。


どのような商品を目指したいのか、
何を表現したかったのか、
誰を具体的なターゲットに設定したのか、
それぞれの要素を明確にしました。


その後、商品のバランスを整えただけです。
それだけで美味しく売れる商品になりました。

製造段階で工数がかかりすぎていた部分も削除し、
作業性と再現性も向上させました。

食材は全く変更しておりません。

おいしいと感じるポイントを前面に押し出し、
わかりやすく表現しただけです。

1時間もかからない作業でしたが、
劇的にバージョンアップしました。


しかも、私は料理を一切せずに、
現場の一番若い調理スタッフに、
お願いをしながら作ってもらいました。


私は自分で作ることもできますが、
私が作ったのでは意味がありませんので、
現場の方にお願いをして、
作っていただきます。

このプロセスを踏むことで、
再現性も確認しながら、
商品開発をしております。

私が作ったのでは、
再現性が確認できないので、
必ず現場のスタッフに、
お願いすることにしています。


誰にでも再現出来るような商品でなければ、
外食産業では、多店舗展開は出来ません。
しかし、作業性と再現性ばかりを追及しすぎると、
工場生産品のような、
特徴の無い製品になってしまいます。


以前にイタリアン業態で、
現場で作るトマトソースがあまりにもブレルことに、
辟易した事業本部長がいらっしゃいました。

その部長さんは、パスタソースを、
トマトヒューレのまま、使用しておりました。

これなど、商品特性が全く感じられない製品でした。


いつもつくづく思うのは、
売り上げ上位の商品が、
必ずしもおいしい商品ではないということです。


売り上げをとっている商品と、本当においしい商品とは、
全く別であるというケースもあること。

以前に、ある商品が非常に人気であると、
仰っていたクライアントがいらっしゃいましたが、
メニューを見て一瞬で理解しましたが、
他に頼みたいものがなかっただけというケースもありました。

一番安心な商品をお客様はオーダーしていたということでした。
因みに、その商品はキーマカレーでした。

意識して、売れる商品を開発し、
売るための仕組みを構築すれば、
必ず、狙ってヒット商品を作り上げることは可能です。


システム化出来れば、
ヒット商品は容易に誕生させられます。


商品開発は本当に大変で重要な作業ですよね。
孤独で過酷な作業です。

会社を左右する、本当に重要な作業でもあります。

仮に、意識的にヒット商品を産出すことが出来、
消費者に受け入れられ、
爆発的までとはいかないまでも、
安定的にAランクに入る商品を、
開発するシステムが出来るとしたら、
素晴らしいと思いませんか!

以前、私はある企業のサポートを、
かなり深いポジションンから、
させて頂いた経験があります。
ある程度の役職にもついて外部交渉も行い、
マスコミにも登場し、
業績を大幅に向上させたことがありましたが、
その時に、複数の人気商品を作りだすことに成功しました。

私が持っていたノウハウと、
プロの職人さんたちの知識と技術とを結集させ、
新たなノウハウを構築しました。

今では、商品開発の段階でほぼ自動的に行っていることです。
商品開発の絶対に外せないコツさえ理解できれば、
どなたでも、人気商品、ヒット商品、看板商品は、
ほぼ間違いなく作れます。


ほとんどの場合、
いきなり商品を作りこんでしまうと思います。

以前紹介した、我が家の夫婦仲が険悪になりかけたパスタもその一つで、
兎に角、すぐに商品を作ってしまいます。

成功体験の沢山あるベテランのプロの調理人の方なら、
すぐに試作したとしても、成功する可能性は高いと思いますが、
一般的にはなかなか難しいと思います。


これも持論ですが、
語弊を恐れずに申し上げますが、
調理人さんは、料理は作れますが、
商品開発は得意ではありません。
メニューはもっと作れません。

理由は、基準がわからないからです。


会社側が何を求めているのか、
具体的な要求は何なのかがわからないので、
商品が作れない状況に陥ってしまいます。


以前、私が経営していた中華業態でもそうでした。
非常に腕の良いプロの職人さんを雇用していましたが、
メニュー開発をお願いしたところ、
散々な結果でした。


私は、コンセプトも商品イメージも伝えたつもり、
そう、つもりでしたが、
ほぼ伝わっていませんでした。


私の独りよがりでした。


その経験から、商品コンセプトの作り方を変化させたところ、
スムーズに希望通りの商品が出てくるようになり、
最初からこう言ってくれればわかるのに!
とまで、料理長に言われてしまいました。

料理の知識が膨大にあるので、
逆に商品が作れなくなってしまっていることに、
この時初めて気づきました。


売れる商品は意図的作り出せます。

その方法が分かれば、
欲しいと思われますか?
次のブログでその一部を公開したいと思います。



確実な価値と、豊かな成果のために
2018年07月09日(月) No.261 (商品関連)

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